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ごめんね父さん

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夕食前、母と二人リビングで話をしていた時のこと。
ピーッピーッピーッ。
「何、あの音?」と母。我が家への仮滞在が始まって1週間と少し経つが、まだ家の機能すべてを把握しているワケではない。
電話の音が「プルルル」じゃなくて「ねこふんじゃった」の音楽が鳴ったり、時計が1時間ごとに5種類のオルゴール音を鳴らしたり、食器洗い器が終わったら音が鳴ったりするのは覚えたみたいやけど。

が、今回は家の機能は関係なかった。
「ん? ああ、TVやんか」
そう。僕たちの会話の外でつけっぱなしだったTV番組の中での音だった。

そして夕食後。
親父も妹も嫁さんも帰ってきているのでかなり騒がしい。親父はシャワーを浴びに行ってたのだが、女三人と僕とTVが音を出しているのだから。
ピーッピーッピーッ。
「何、あの音?」と母。騒がしいのでさっきより小さな音に聞こえるが、僕はまた少し厳しく言う。
「またTVちゃうん? 今、家でほかに鳴るような音なんかないやんか」

しばらくすると親父がシャワーから戻ってきた。
「おい、呼び出しボタン押してるのになんで来てくれへんねん!」
へ?
風呂場にそんなボタンがあったのかー。僕も知らんかったわー(^^;)ゞ。見に行ってみると、確かにそんなボタンもある。

「で、何の用事やったん?」
「種火が点いてなかったからシャワーから水しか出ぇへんかったんや」
――て、親父ぃ。
“呼び出しボタン”の隣りに“運転ボタン”がありまんがな(^◇^;)。
ま、しばらくして気づいて無事お湯が出たらしいのでめでたしめでたし。
こうして我が家族仮滞在の最後の夜は終わったのであった。

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